便秘とは
便秘とは健康時の状態に比べて排便回数が減少し、水分の乏しい硬い便を数日に1回くらい排出する状態をいいます。
一般的な便通は24~48時間に1、2回規則正しくあるのが理想です。ただ個人差があるので2~3日に1回でも苦痛がなければ便秘といえないし、毎日便通があっても苦痛があれば便秘といえます。
鍼灸が適応する便秘
鍼灸の対象となるものは病院での検査で異常のない、つまり原因が特定されない便秘(特発性便秘)となります。
特発性便秘とは生活環境の変化やストレスなどで生じる一過性単純性便秘と3つの慢性便秘(弛緩性便秘、痙攣性便秘、直腸性便秘)があります。
1.弛緩性便秘
大腸運動の減弱によって便が停滞することにより、便から水分が過剰に吸収されて硬くなり、排出が遅れます。
鍼灸治療では大腸と関連する経穴(ツボ)をはりで刺激して腸管の蠕動運動を促進させます。
2.痙攣性便秘
腸の緊張および蠕動運動が亢進し、便の移動が妨げられることによって起こります。過敏性腸症候群の便秘型によくみられ、しばしば下痢と交互に起こります。
鍼灸治療では自律神経の失調を整え、心身をリラックスさせて腸管運動を調整します。
3.直腸性便秘
便が直腸に達しても便意が起こらないもので、仕事などで忙しいなどの理由で便意をがまんすることが習慣化して起こることが多くあります。
鍼灸治療では直腸と関連する経穴(ツボ)をはりで刺激して減弱した排便反射を活性化させます。また当然ですが便意をがまんしないなどの規則正しい排便習慣を身につける必要があります。
下痢、軟便とは
下痢とは水分の多い液状の便を排出する状態で、便通の回数が増える傾向にあります。軟便は下痢よりは水分は少なくなりますが、正常よりも軟らかい便をいいます。下痢では細菌やウイルス、食中毒などが原因の場合があるので、病院への受診をおすすめしています。
検査の結果、特に原因が見当たらないものが鍼灸の適応となります。
下痢、軟便の鍼灸治療
下痢、軟便になる原因として考えられるのは、胃腸が弱ったために起こる消化不良、冷たいものの飲食や冷房などでお腹を冷やした場合、精神的なストレスによるものなどがあります。
鍼灸治療では自律神経の不調を調整することにより胃腸の働きを整えたり、胃腸に関連する経穴(ツボ)をはりで刺激して下痢、軟便を改善していきます。
食欲不振
食欲不振には単に胃腸の疲れだけでなく、精神的なストレスやその他の内科的疾患によっても起こります。発熱がみられる場合や体重減少を伴う場合は病院で受診をしてください。
鍼灸の適応となるものは胃腸の疲れや精神的なストレスによる食欲不振となります。