鍼灸について
東洋医学の基礎
気、血、津液
気 …… 生命活動のエネルギー源、経絡を通って全身をめぐります。
血 …… 現代の血液に相当します。
津液 …… 体の中の水分。汗や涙も含みます。
健康状態では気が全身の経絡をめぐり、身体にエネルギーを供給し、温めたり、ウイルスや細菌から守ったりしています。
ところが何らかの原因により気の流れが滞ると、身体のバランスがくずれ、さまざまな症状が出てきます。
また気の力により血や津液は流れているので、気の流れが滞るとこれらの流れも滞ります。(血行不良や冷え、むくみの原因となります)
鍼灸によって気の流れを整えることで自然治癒力を引き出し、身体のバランスを整えることができます。
経絡
気の通り道となるのが経絡です。気はこの経絡を通って全身へ運ばれます。
経絡は身体表面だけでなく内臓にも伝わっているので気の流れが悪くなれば内蔵の働きにも影響が出ます。
そしてそれとは逆のパターンで内臓の不調が関連する経絡へ波及し、身体表面にも症状が出てくる場合もあります。
その特徴を利用して手足の経絡の反応をみることで内臓の状態を推し量ることができます。そしてその反応が出やすい場所が経穴(いわゆるツボ)です。
またこの経穴は反応点であると同時に治療点にもなります。つまりこの反応の出ている経穴に鍼を施すと、その先につながっている内蔵の調子を整えることができるわけです。
五臓
東洋医学での臓器は西洋医学と名前が同じでも働きが違います。その理由は江戸時代、杉田玄白が解体新書の翻訳の際に東洋医学の名称をそのまま当てはめたためと言われています。以下に東洋医学での五臓の名前と簡単な働きを説明します。
肝 …… 自律神経系、目の疾患、婦人科系など
心 …… 循環器系、精神疾患など
脾 …… 消化器全般
肺 …… 呼吸器系、皮膚病など
腎 …… 泌尿器系、生殖器系など
また五臓と体の各部位はそれぞれ密接に関わっています。主なものを下の表にあらわします。
五臓 | 肝 | 心 | 脾 | 肺 | 腎 |
---|---|---|---|---|---|
五官 | 目 | 舌 | 口 | 鼻 | 耳 |
五主 | 筋 | 血脈 | 肌肉 | 皮毛 | 骨髄 |
五志 | 怒 | 喜 | 思 | 憂 | 恐 |
五華 | 爪 | 面色 | 唇 | 毛 | 髪 |
たとえば肝の機能が衰えた場合、目が疲れたり、筋(現代では腱をさす)の痛み、あと怒りっぽくなります。
このようにどの臓が衰えているかを判断し、その臓を整えるように鍼をしていきます。また五臓の状態を知るために脈やお腹、背中のツボの反応などを参考にします。
また経絡のところで説明したように、その臓に関連する経絡や経絡上にあるツボの反応も参考にします。