更年期障害
閉経期前後の女性でイライラしたり、不眠、肩こり、倦怠感、のぼせ、ほてり、発汗などの症状があり、各種検査にて異常がない場合は更年期障害が考えられます。
更年期障害の本質は卵巣機能低下により衰えた女性ホルモン産生能力と、そのために増加する女性ホルモン刺激ホルモンとのアンバランスによって生じる交感神経過緊張症といわれています。
ちなみに女性ホルモン刺激ホルモンとは脳から分泌されるもので、卵巣に対して女性ホルモンを産生するよう要求するホルモンです。
つまり卵巣がその役割を終えて引退する準備をしているところに脳から「もっと働いてよ!」と無理な要求が続くために自律神経のバランスが崩れてさまざまな症状があらわれるのです。
更年期に女性ホルモンが少なくなるのは女性にとっての自然現象です。問題は脳と卵巣とのコミュニケーションがうまくいっていないことにあります。鍼灸は脳と卵巣との話し合いをとりもつことができると当院では考えています。
時間の経過とともに女性ホルモンが下げ止まって安定してくれば症状も落ち着いてきますが、閉経に移行する期間は約5年続くと言われています。更年期を楽に乗り越える手段として鍼灸はとても効果的です。
はり治療のながれ
更年期障害の治療は仰向けから始めることが多いです。
まずお腹と手足にある自律神経に関係するツボをはりで刺激して全身の調整をしていきます。また卵巣に対して女性ホルモンを要求する脳(視床下部)も自律神経と関係があります。
次にうつ伏せで背骨に沿って両側にあるツボをはりで刺激していきます。女性ホルモンは卵巣だけでなく副腎という臓器でも作られています。ですから閉経後でも女性ホルモンはなくなりません。この副腎が女性ホルモンのメイン工場となります。そこで同時にはりで副腎に関係するツボを刺激してホルモンの分泌を調整していきます。
肩こりや腰痛がある場合は全身調整のあとに気になる部位に施術していきます。
治療の間隔は週に1、2回ほどを目安にして、症状が軽くなるにしたがって間隔を長くしていきます。